空気について考えてみる

なぜ換気が必要なのか

ベランダの窓から陽の光が差し込むとき、キラキラと埃が舞っているのを見たことはありませんか? 子どもが走り回ったり、お布団や洗濯物を畳んだり、人やペットの行動で埃は舞い上がります。そして空気には目に見えないものも含みます。例えばお料理をすれば水蒸気や匂い、人の呼吸から二酸化炭素や水蒸気が、建材や家具から揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド等)があり、お布団やソファからダニの死骸やフンなどは既にご存知かと思います。こうした汚染物質を知らず知らずのうちに吸い込み続けることで、健康被害、シックハウス症候群を発症するリスクも考えられます。
現代の住まいは昔の建物に比べて気密性が良くなり隙間風がほとんどなく、自然にお部屋の空気が入れ替わることがなくなっています。ですから機械的に(一部自然換気もあります)換気をして空気を入れ替える必要があります。
 
 
 

屋外の空気は綺麗なのだろうか

屋内外の空気を入れ替えて換気をする訳ですが、では屋外の空気は綺麗なのでしょうか?
春にはスギ花粉が飛散し、大陸から黄砂やPM2.5が到達し、自動車の排気ガスや小さな虫など、緑豊かな高原にでも住んでいれば別ですが、思ったほど綺麗とは言えないのではないでしょうか。
実際、第一種換気設備で給気側のフィルターを確認すると、3か月ほどで真っ黒に汚れることもあり、季節によっては小さな虫なども散見されます。それを見ると外の空気って意外と汚れているんだと実感します。
 
 
 

換気の種類

住宅の換気の主流は第三種

建築基準法における機械換気の方法は第一種・第二種・第三種とあり、給気側と排気側にどのような設備を組み合わせるかによって異なります。
住宅の換気で主流になっているのは第三種です。これは給気側を外気に開放し、排気側に換気扇を設置します。換気扇で屋内の空気を排出することで屋内が負圧となり、それを補うように給気口から外部の空気が流れ込んできます。
この場合、給気口は外壁面に床から2m前後の高さに10センチほどの穴をあけ、排気の換気扇は洗面脱衣室やトイレに設置し、臭いや水蒸気とともに排出します。
 
 
 

換気量

 どの種類の換気設備を用いるにせよ、建築基準法では換気量について定められています。
住宅の場合、1時間に0.5回以上・・・つまり2時間でお部屋の空気を入れ替える以上の換気量が必要になります。これらは24時間連続して運転する換気設備ですが、住まいにはキッチンのレンジフードや浴室など使うときだけ運転する換気扇もあり、思ったより換気量が増えていることがあります。
 
 


換気に求める性能

適正な換気量

建築基準法で求められる1時間に0.5回以上の換気量は確保しなくてはいけません。
この換気量は多ければ多いほど良いのか・・・それは住環境、近隣環境によって異なってきます。換気量が多ければそれだけお部屋の空気を排出します。春や秋のように窓を開け放っても良い季節なら別ですが、冷房や暖房を必要とする季節は冷暖房の熱を排出し、屋外から不快な熱が侵入します。
 
 
 

外部からの汚染物質侵入防止

屋外の新鮮な空気をそのままお部屋の中に入れたのでは、花粉やPM2.5などが侵入します。外からの入り口で高性能なフィルターを取り付けることで汚染物質の侵入を防ぐことが求められます。
 
 
 

室内の熱エネルギーロスを抑える

 部屋と屋外の温度差が大きな夏や冬、冷暖房で快適にした空気をそのまま排出し、外部の空気をそのまま取り込むのでは熱のロスが大きくなります。
換気設備に熱交換をプラスして、屋内の熱を外に逃がさない工夫が出来れば冷暖房費を抑えることが出来るようになります。
 
 

換気設備が義務になったきっかけ

その昔・・・といっても、それほど古いものではありません。2003年に建築基準法が改正され、建材などに含まれる化学物質の使用制限や24時間換気が義務付けられました。
 
原因物質の代表的なものは「ホルムアルデヒド」があり、接着剤として合板や建材などに使用されました。揮発性があり、特に夏場など気温が高くなると揮発量が増え、目の前に玉ネギがあるかのように眼の刺激や臭いがあり、呼吸が苦しくなったりします。
その他、殺虫成分がある「クロルピリホス」は現在使用が禁止されているものもありました。
こうした有害物質が気密性の高い住まいに滞留し、住まう人に健康被害を与える現象が増えたため、上記のような化学物質の使用を禁止または制限し、使用する部位を限定し、それに合わせて常時換気をすることで屋内から排出するよう義務化されました。
 
 

内外温度差による熱ロスを見直す

 

暑い夏、寒い冬、24時間換気扇を動かし、冷暖房が効いたお部屋の空気をそのまま排出し、その分給気口から不快な温度の外気が流れ込んでくる・・・これではいつまでたっても冷暖房は運転MAXですね。
快適なお部屋の空気の温度を残しながら、汚れだけを排出することは出来ないか・・・それを解決するのが熱交換です。
住まいの断熱性能を上げることは注目されていますが、それと同等かそれ以上に換気設備による熱のロスを見直しましょう。
熱交換・・・屋内と屋外の温度差が大きいほどその効果を発揮します。最新の技術では熱交換率90%のものもあり、お部屋の快適な温度を無駄なく回収できます。
 
 

顕熱と潜熱


一言に「熱」といっても種類があります。
外気温〇℃というように我々が一般的に使っている空気の温度を「顕熱」といいます。
「潜熱」とは水蒸気が持つ熱エネルギーのことで、氷から水へ、水から水蒸気へ状態が変化するときに熱エネルギーを蓄えます。
 
熱交換型の換気設備を考えるとき、「顕熱交換型」と顕熱と潜熱の両方を交換する「全熱交換型」があり、夏の高温多湿、冬の乾燥が問題になる場合は全熱交換型を採用します。